永山祐子(ながやまゆうこ)
建築家・永山祐子建築設計主宰

1975年生まれ、東京都出身。青木淳建築計画事務所を経て2002年永山祐子建築設計を設立。「ルイ・ヴィトン京都大丸店」「豊島横尾館」など話題の建築設計を数多く手掛け、受賞歴多数。

永山祐子建築設計
www.yukonagayama.co.jp

_INTERVIEW #002
YUKO
NAGAYAMA

様々な業態の店舗からオフィス/ギャラリー/ホール/ホテル/旅館/美術館/茶室/神社、そして都市づくりに至るまで。建築家として多岐に渡る案件を手掛け、同時に子育てもしていらっしゃる永山祐子さん。昨年二月にリノベーションを施して完成したという御自宅で、仕事と“衣食住”についてお話を伺いました。

「人が集う場所では人が主役。建物は主役ではないんです。建物はあくまで、人が集まるきっかけづくりを手助けするもの」

仕事について

担当する機会が多い商業建築ですが、今後は公共的な役割も大きく担うと思います。大型のショッピングセンターにしても、その地域に住まう方々が安心して集う場所として機能することが重要になってきたりと。
住宅に関しては、施主様の本当に欲している未来について予測すること。最初の段階ではことばにすらなっていない、少しだけ先の未来の姿を探し当てるために、ときにはカウンセラーのように耳を傾け、“根拠のない形だけの住まい”にならないよう心掛けています。
宇和島(※1)や豊島(※2)のリノベーションは、かなり特殊な案件でした。それは活用するというより、今そこにある状況を使いながら、その意味を変えてしまうくらいのーそうして古来の物件に対しての新しい未来を思い描くような新しい提案でした。

住まいについて

働きながら家のことも切り盛りするので、それが無理なく効率よくできる空間に。そしてできるだけ子供と一緒に過ごせるワンフロアーに。場所を共有するのはとても重要なこと。たとえ話さなくても目の端で捉えて、こう考えてこう動いてるんだなって。場所を共有してるだけでもコミュニケーションになるんです。ここには20人くらい集まったりすることも。子育て世代同志、外ではゆっくりできないこともあるので。

食事について

日々のなかでは準備できる時間も限られ、いつも豪華なものというわけにはいきません。それでも日常だけれど、ちょっとした非日常を演出することはできます。風さえ強くなければベランダでご飯を食べたり。外だと子供達がいつもよりたくさん食べてくれるんです。

衣服について

もともと服は好きなのですが、これまではあちこちに収納していて、今回ひとつのクローゼットに集めたら自分でもビックリ!するほどの量に。COOHEMの服はスタンダードな形のジャケットにしても、素材使いがユニークだからとても面白いですよね。何より華やかなので、取材のときや講演会にぴったり。着心地はもちろん大切ですが、プレゼンテーションの際に択ぶのは高揚感をもたらしてくれる服や、包み込んで守ってくれるような安心感がある服でしょうか…

出掛けたくなる場所

子供と一緒に楽しめる場所もいいけれど、背伸びして出掛けたくなる、大人がゆったりとくつろげる場所があるといいですね。例えば、海外で見受けられる公園の中の素敵なお店だとか。そこではちゃんと一級品の料理を提供していて。夜はグッと大人っぽい雰囲気になって、時間帯によってシチュエーションが変化して色々な人を呼び込むような。日本国内でも公園や建築ストックの新たな活用は増えていくと思います。

子育てについて

子供を育てていくなかで、“地域コミュニティ”を初めて実感することにーそれは建築学での単なる言葉で、区役所は建築申請のために向かう場所でした。それが折りに触れ区役所に足を運び、保育園を巡り、地域のコミュニティに参加して交流し、生まれ育った地に初めて根ざすことになりました。仕事と子育てというシンプルな生き方。それが無理なく持続可能なスタイルで続けていけたらー建築家としての仕事を続けながら子育てをする女性が私の他にもだんだん増えるようになりました。

※1:木屋旅館/愛媛県宇和島で1911年創業1995年廃業。17年を経て一日一組の体験型宿泊施設に。
※2:豊島横尾館/香川県豊島で三棟の民家を改修・増築して誕生した横尾忠則氏の美術館。

永山祐子(ながやまゆうこ)
建築家・永山祐子建築設計主宰

1975年生まれ、東京都出身。青木淳建築計画事務所を経て2002年永山祐子建築設計を設立。「ルイ・ヴィトン京都大丸店」「豊島横尾館」など話題の建築設計を数多く手掛け、受賞歴多数。

永山祐子建築設計
www.yukonagayama.co.jp