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Rootsを探す旅
今年も残すところあとわずか。
街はクリスマス気分で、2017年もあっという間に過ぎようとしています。
そんな中、米富繊維・山形本社では、COOHEM2018AWの企画、サンプル作りの真っ只中です。
今回のDirector’s BLOGは、そんな秋冬の企画を考える時に感じる「Roots(ルーツ)」について。
「Roots(ルーツ)」とは、発祥(起源、由来、原点)、先祖(祖先)、故郷(出身地)などの意味。
Rootsと言っても、洋服のアイテムの一つひとつやブランド、会社や人にもRootsはあります。
「洋服にはRootsがある。そのRootsを踏まえた上で着崩したり、時代に合わせたスタイリングや提案がある。」
つまり、「基本に忠実である。そしてその上に成り立つ新しさである。」
これは、僕がこのファッションの世界に入った頃、先輩方やSHOPの考え方でいつも言われてきたことでした。
思えば、7年前のCOOHEMブランド立ち上げの際、自らを自問自答しながら、ブランドの商品づくりのベースに置いたのはこの言葉でした。
老舗ニット工場が初めて作る自社ブランド。
ニットしか作ってこなかった会社で、ある意味でニットらしくないもの、「THIS IS NOT SWEATER」とも言えるブランドがCOOHEMのスタートでした。
その工場である米富繊維のRootsは、創業者・大江良一、英子が戦後に山形県・山辺町でニット工場を創業したことに遡り、ニット業界、他社に先駆けて様々なことに挑戦してきた工場であったということ。
今では一般的となった春夏に着る「サマーセーター」の製法を生み出し、それまでセーター(ニット製品)=ウール(羊毛)といったイメージを覆したと言われています。
また、2代目である大江富造(現・米富繊維会長)は、工業的な下請け工場から脱し、企画提案型の工場になるために40年前に編地開発室を創設、その後の企業の成長、衰退期を通し激動の時代の中で継続して他社に先駆けた提案のできる技術の蓄積をしてきました。
そして、その「編地開発室」が続けてきた研究・開発の技術と数々のアーカイヴスを生んだ歴史の上に成り立つ米富繊維株式会社初の自社ブランドとしてCOOHEMは生まれました。
COOHEMはブランドスタートから7年でも、その基盤となる米富繊維には65年の歴史があります。
COOHEMのRootsは、米富繊維のRootsにつながっているのです。
新規事業を立ち上げる使命を受け、僕が米富繊維に入社したのは10年前。
それまでセレクトショップで販売しか経験したことがなかった自分が、老舗ニット工場の初めての挑戦として悪戦苦闘の毎日。
「工場なのでニット製品なら一通りのモノづくりはできる。」
しかし、この会社(工場)で、この場所(産地)において、この人達(職人)と一緒だからこそできるモノづくりって何だろう?
考え抜いた末に辿り着いたのは、この「Roots」でした。
技術を時代に最適化させつつ、ディレクターである自分のRootsをデザイン面とマーケティング面でのベースとしました。
それは、販売からキャリアをスタートした自分が考える、「ニットだけどニットらしくないもの(THIS IS NOT SWEATER)」という考え方。
ニットツウィードという唯一無二の米富繊維の技術を、ジャケットやダウンジャケット、スニーカーや財布、パネルに至るまで生活の中で身近にあるアイテムを商品化してきました。
ニットを中心として、トラディショナルマインドを大切にしながらも、「今の時代だったらこういうアイテムで表現する」といった創意工夫を重ねながらも、素材の組み合わせやカラーリングで現代的にアップデートする。
そのCOOHEMのマインドは、技術にあぐらをかくことなく、先駆けて、挑戦してきた米富繊維のRootsに重ね合う。
トレンドがストリート、フェミニンなど時代の中で変化する中でも、一貫してこだわり続けるコンセプトは、「ニットだけどニットらしくないもの(THIS IS NOT SWEATER)」、他の誰にも真似できない、今までになかった商品開発に挑戦し続ける姿勢こそCOOHEMの「らしさ」なんだと思う。
2018AWは、そんな自分達のRootsに立ち返り、MEN’S、WOMEN’Sともに洗練されたCOOHEMを提案したい。
Director 大江