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Coohemはなぜ糸を探し、糸を作るのか?
11月も中旬となり、いよいよ今週からは新しい雑貨の提案「COOHEM KNIT TWEED LIFE」が始まります。
ブランドを立ち上げてから、展示会以外にこうしたPOP UP SHOPやコラボレーションを発表してきましたが、これからの時代は卸主体のブランドであっても様々な角度でお客様やマーケットに対して「ブランド」を発信していくことが必要だと感じます。
このDirector’s BLOGやスタッフが書き綴るCOOHEM BLOGもそうですが、単純にシーズン商品のご紹介だけではなく、モノづくりの裏側だったり、それにかける想い、それぞれのスタッフが過去の商品を含めてどのようにCOOHEMを着ているのか?などなど。
伝えるべきコンテンツを持ったブランドとして、今後もCOOHEMを取り巻くあらゆるヒト、モノ、コトをご紹介していきたいと思います。
今回のDirector’s BLOGのテーマは、COOHEMはなぜ糸を探し、糸を作るのか?
写真の糸は、これまで作成したCoohem別注オリジナルのファンシーヤーン(意匠糸)。
多くは愛知県・一宮市の紡績、撚糸工場とのコラボレーションによって作成された糸たちです。
今年3月のTOKYO FASHION AWARD凱旋イベント・インスタレーションで展示したこの糸は、2016 SPRING&SUMMERで大好評だったSPRING PAINT TWEEDの核となったCoohem別注糸。
通常、1つのニットツウィードを作るのに5種類ほどのファンシーヤーンを組み合わせて作るのですが、毎シーズン、新しいニットツウィードを作るためには、その元となる「糸」を探し、「糸」を作ることが必要になってきます。
ただでさえ複雑かつ予測不可能なCOOHEMのニットツウィード作り。
「色」を組み合わせて、新しい「色」を作るようなプロセスは、編んでみないと誰にもわからないほど複雑なモノづくりです。
毎回使う糸の形状、色が異なるため、何度もトライ&エラーを繰り返し、自分たちのイメージに近づけていく。
冷静に考えると気が遠くなるようなプロセスを日常的に取り組んでいるんだなと我ながら思います。。
なぜ、そこまでオリジナルにこだわるのか?
その問いに対しての答えは、徹底的に試行錯誤した末に生まれたニットツウィードが、新しいアイコニックな商品となり、マスターピースとなって国内外で評価を受けてきたという事実があるから。
オリジナルの糸作りには失敗もつきもの。
上手く表現できずにお蔵入りになってしまったものも数知れず。。。
数年後に思い出したように引っぱり出して、日の目を見たものなどもあり、ファクトリーがあるからこそできるモノづくり。
イタリアの糸、日本で作った別注糸、生産地を限らず、糸レベルでカワイイ、カッコイイものは、その他の糸と組み合わさってもやはりカワイイ、カッコイイものとなります。
それだけ原料、ニットの場合は「糸」が持つ力は大きい。
ニットデザイナーにとって、良き仕入先、良き糸との出会いは、商品作り、ブランド作りにおいても重要な要素です。
今年は、イタリア、そして中国、日本の一宮とそれぞれの背景を見て回り、それぞれの生産地の違いや特徴を感じた一年でした。
イタリアのファンシーヤーンの色鮮やかさ、絶妙な色の組み合わせは世界一。
世界のトップメゾンのテキスタイルやニットがイタリアの糸からできているという事実はこの「色」によるものだと感じます。
初めて訪れた中国の展示会は、規模感がダイナミックで、アジア独特の色使いのファンシーヤーンが多いのが特徴でした。
こうしてみるとお国柄もあり、糸ひとつとっても色んな顔があります。
その昔、多くのデザイナー達は自分で糸を探し、糸を作り、色を染め、商品をデザインしていた。
時代が便利になり、あらかじめストックされた糸、あらかじめ染められた糸、編地にして提案され、製品として形(デザイン)も提案される時代の中で、COOHEMは完全にオリジナルであるがために逆行したようなモノづくりなのかもしれません。
似たようなブランドや商品、店が多く、お客様のファッションに対する憧れや感動が薄くなってきたと言われる昨今ですが、同質化している要因はモノづくり、店づくりが同質化しているから。
他にはないオリジナルの商品を初めて見たときの感動は、糸から素材作り、デザインに至るこうしたプロセスから生まれてくるのかもしれない。
誰もやっていないことをやろうとする。
簡単なことではないけれど、一つのマスターピースが生まれた瞬間は、モノづくりに携わる人間として最もやり甲斐を感じる瞬間でもあります。
COOHEMはなぜ糸を探し、糸を作るのか?
完全に「オリジナル」であるがために、COOHEMは糸を探し、糸を作り続ける。
Director 大江