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「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」でもオシャレ心を忘れない
食欲の秋、ファッションの秋、読書の秋。
ということで、最近読んだ本を通して僕が感じた今の時代感について。
先日、ネットで衝撃的なタイトルの本を発見!すぐさまネットで購入して読んでみました。
「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」
ファッションを生業にしている僕にとっては、なんとも言えないタイトル。。
肝心の本の内容としては、ここ数十年で変化した消費者の心理。
車を買わない、家を買わない、服を買わない若者たちの台頭や少子高齢化、地方と郊外の疲弊などなど、今の日本が抱える問題をわかりやすく解説されていました。
シェアリングエコノミーという言葉に代表される「シェア(共有)する感覚」は、ファッション業界でも注目されており、自社商品をレンタルするサービスも数社で出てきています。
ブランドよりも古着にオリジナリティを感じ、皆と同じトレンドを身に纏うよりも一点物などに差別化欲求を求める。
モノと情報が溢れた世界の中で変化してきた消費者の心理が、読んでいるうちに自分も一消費者として実感できました。
こうした世の流れは、まぎれもなく事実であり、こうした流れの勢いを止めることはできないでしょう。
そういう意味で改めて今の時代感を客観視できた一冊でした。
続いて、書店で見つけた貧しい国に暮らしながらオシャレ心を忘れない人達「サプール」について書かれた「THE SAPEUR」を読みました。
この「サプール」とは、コンゴ共和国の首都・ブラザヴィル郊外にあるバコンゴ地区を拠点とする、「エレガントであることにすべてを捧げる」″サップ″と呼ばれる美学を持ったファッショニスタ集団です。
写真では伝わりずらいのですが、色とりどりのスーツに身を包み、週末になると思い思いのスタイリングで街に繰り出すそうです。
オシャレなスタイリングだから誰でも「サプール」になれるのではなく、紳士としてのルールと教養を身につけ、精神的な豊かさを追求すること、内面、外面ともエレガントであることが「サプール」になれる条件。
また、年長者のサプールから「サプールとは何たるものか?」という倫理観や着こなしのルール(1度に3色以上の色は使わない、シャツは基本的に白など)を受け継がれていくとのこと。
まるで15年から20年前の日本のセレクトショップみたいですね。
僕もその昔、先輩方よりあらゆる「服屋」としての倫理観や着こなしのルールを教えて頂きました。
・実年齢より5歳上に見える立ち居振る舞い
・スーツを着るときは黒髮、黒靴
・服のニュアンスでスタイリングを考える
・基本に忠実であれ
などなど。
今思うと、こういう環境で仕事が出来て大変恵まれていたと思います。
オシャレであることに全てを捧げるサプールのように情熱を持って服と向き合っていた時代。
同じタイミングで対局にあるような2つの本を読み、どちらも今、そしてこれからの時代を考えた時に大事なメッセージが書かれた本だったと思います。
「ファッションの優先度が高くない時代になった」と色んな方との会話で聞こえてきます。
そんな今、「サプール」の彼らのように、自分達がオシャレ心を忘れないことが大切だなと。
そこで、この秋、僕が購入した洋服をご紹介。
COOHEM MENSのグレンチェックツウィードジャケットにAcne STUDIOSのダンガリーシャツ、CARVENのシャンブレーシャツとYAEKAのチノーズ、COOHEM MENSのケーブルニットとSTANDARD OF COOHEMのスウェットシャツなど。
それらにお気に入りのシューズを合わせる。
スニーカーはハイテク、ローテクどれでも、たまにはレザーシューズも合わせたい。
色々考えていくのは楽しい。
既に何年も前から着ている手持ちのアウターやジャケットと合わせてみても良い。
などなど。
「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」によると、毎日同じ服、スタイリングにしたい人は「コーディネートを考える時間を短縮化し、意思決定を1つでも減らしたい」から同じ服にしたいとのこと。
それ自体、何も否定はできず、そういうスタイルがあっても良いのかもしれません。
ただ、「選ぶ楽しさ」や「悩む楽しさ」だってあるかなと。
「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」でも、オシャレ心は忘れない「サプール」を見習いたい。
Director 大江