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生涯初のトークイベント「BARミチノオク」
秋も深まり、そろそろ山形では紅葉の季節。
秋冬物の洋服に袖を通し、色々とファッションを楽しめる季節です。
今回のDirector’s BLOGは、先月開催されていたアートイベント「山形ビエンナーレ」にて、生涯初となるトークイベント「BARミチノオク」に参加した様子をお伝えします。
山形市旅籠町にある老舗漬物屋の奥座敷にて「山形」にゆかりのあるゲストにフリースタイルでトークしてもらうこちらのイベント、一般のお客様とお酒を飲みながら参加できるというもの。
実は私、トークイベントにスピーカーとして参加するのは生涯初。
フリースタイルゆえに何をテーマに話そうかと悩みましたが、「外から見た山形、内から見た山形とファッションの話し」と題し、自分の半生を振り返るような内容にしました。
「どれくらいお客様が来てくれるんだろう?」とドキドキでしたが、あっと言う間に会場は満員御礼。
後日、聞いたところご来場下さったお客様は57名と過去最多だったそうです。
東京など遠方よりお越し頂いた方や山形出身で帰省した際に参加した方などなど。
皆さん、お忙しい中お越し頂きありがとうございました。
さて、肝心のお話しした内容ですが、僕の半生というか。。赤裸々に語りました。。
山形で生まれ育ち、中学、高校はテニスに夢中。今では問題になるであろう軍隊のような部活動に明け暮れる。
テニスの次に興味を持ったのがファッション。
メンズノンノで「agnes b.」や「A.P.C」を見て欲しくても山形には売っていなかった。
当時は情報もインターネット通販もなく、本や雑誌、テレビで目にするモノのほとんどが「東京」に行かないと手に入れられない時代。
雑誌と似たようなスタイリングを手持ちの服でなんとか再現するようなことをしていました。
そして大学進学を機に上京。
街が夜でも明るく、雑誌やテレビで見ていたモノや場所が目の前にある。
そんなことが嬉しくて、楽しかった記憶があります。
そして、ファッションビジネスの学校を経て就職。
「服屋」になって、将来はメンズのバイヤーかマーチャンダイザーになりたいと思い、憧れていたセレクトショップに入社する。
外から見ていた「服屋」は、現実は厳しい世界で徹底的に「服屋」としての基本を叩きこまれました。
この時代に「服」のルーツやディティール、スタイリングの基本、ディスプレイ、接客のあり方などを覚え、厳しい先輩方や熱意溢れる後輩たちに囲まれて仕事ができたことが今の自分のベースとなっています。
仕事を覚え、接客の楽しさを感じられるようになった時、自分の運命と対峙する。
そして米富繊維株式会社に入社。
サプライチェーンの端から端に遡って見たモノづくりの世界。「工場」や「地方の企業」を取り巻く環境の厳しすぎる現実。
「技術」はあるのに日の目を見ない製造業にこそ「ブランド」が必要だと痛感。
COOHEMを立ち上げ、悪戦苦闘の毎日の中で、揉まれてきたこの5年間。
そして海外へ。
夢にまで見た海外ビジネス、自分達の想像を超える展開に戸惑いながらも、臆することなく挑戦してきた。
「田舎の工場さんにブランド作るのは無理だ」と言われ続けた中、その可能性を信じて疑わなかった。
気がつくと社内の見える景色が変わって、ファッションを学んだ若い人達が県外より移住、製造の現場で技術を身につけ、それぞれのポジションでCoohemに携わる。
そんな彼ら彼女達の姿勢を見て、僕自身も変わってきた部分があった。
そうして18年振りに山形へ帰ってきた。
「外」から見る山形は、何もない田舎にしか思えない時代もあったが、角度を変えて見ると良いところがたくさんあった。
今、山形の「内」から見る山形は、可能性を秘めていると感じる。
そう思えるようになったのは、一度「外」に出て見たからかもしれない。
そんな事を一時的に暴走しながらお話しさせて頂きました。
自分の経験をふまえて、誰かの前でお話する機会は初めてでしたが、改めて「伝える」ことの重要性を感じたイベント。
ご来場された方の全員がCOOHEMを知っていたわけではありませんが、これを機にCOOHEMを知って、ファンになって頂けるのなら幸いだと感じます。
Director 大江