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2016年8月一宮出張 〜糸探しの旅〜

お盆休みが明け、米富繊維株式会社の山形本社では、2016年秋冬物の量産がピーク時期を迎えています。

今回のDirector’s BLOGは、今月初めの愛知県一宮出張のレポート。

COOHEM 2017AUTUMN&WINTERに向け、ここから企画がスタートします。

半年に一度は必ず訪れる愛知県一宮市。

古くから紡績、撚糸メーカーが集まる日本の繊維業界の一大産地です。

米富繊維株式会社の本社工場がある山形県山辺町は「ニット産地」でニットを作る工場が集まる産地ですが、こちらは紡績で糸を作る工場、撚糸で糸を作る工場が集まる「糸産地」として知られています。

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COOHEMの新しい企画は、「糸」を探すところから始まります。

5種類ほどの糸を組み合わせてニットテキスタイルを開発する。

毎シーズン、新しさを追い求めるとその元となる「糸」の開発にたどり着きます。

近年、コレクションブランドでも別注の糸を開発して、生地をオリジナルで作成するところは珍しいと言われています。
Coohemでは、完全なる独自性の追求をテーマに、この一宮にてブランドオリジナルのファンシーヤーンの開発に力を入れてきました。

ニットツウィードという素材自体が独自性があるのですが、その元の糸をオリジナルで作成するため世界で唯一無二といわれる製品が可能になるのです。

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このカスリ染めの糸見本は、現在では廃盤になってしまった糸で、こういう昔のものを今の素材で表現できないか?試作をお願いしたりすることもあります。

 

今は大手繊維メーカーの撤退などにより、糸作りの元となる原料(繊維)が廃盤になるなど、昔はあったのに今は作れない糸も多くなってきました。

 

山形もそうですが、産地には「巨匠」とも言えるベテランの職人さん達がいて、彼らの貴重なお話を聞くことができるのも一宮出張の楽しみとなっています。

 

90年代後半にアパレル業界の海外生産シフトが始まる前までは、繊維産業が地域の基幹産業として隆盛を誇っていました。

当時のコレクションブランドのデザイナーや大手アパレルのモノづくりチームも足繁く日本各地の産地に通い、そこから自身のクリエーションをスタートしたといいます。

 

時は流れ、時代は移り変わり、足繁く通うデザイナーも少なくなり、ニットに限らず洋服作り全般が「産地」と「ブランド」の間に距離が生まれてきました。

 

今では「産地」に足を運ぶことは珍しいことになってしまっている。。

ファッションというと、SHOPやビジュアル、プレスが表に出てきていて、実は裏側にはこのようなモノづくりの背景があり、そこには携わる人達が数多くいる。

そういう背景も含めて、Coohemでは可能な限り時代に合わせたプレゼンテーションで、皆さんにモノづくりのプロセスやストーリーを知っていただき、この「産地」と「ブランド」、「ブランド」と「お客様」の間にある距離を少しでも短く感じてもらいたいと思っています。

一宮の「巨匠」達と会食した際に「自分達が作ったものがカタチになって世の中に出ることが嬉しい」とおっしゃっていたことが印象的で、改めて自分自身も「モノづくりの楽しさ」ってこういう部分が根底にあるのだと感じました。

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イタリアの産地を回っていても日本同様に廃業するメーカーが多く、自国内でモノづくりをしていくインフラはもはや崩れかけている状況。

そんな状況の中でも、前を向き新しいモノづくりにチャレンジしている職人、メーカー、工場さんがいます。
そうした方がとの出会いが、COOHEMの新しいモノづくりや製品には必要不可欠であり、その出会いや現地での発見があるからこそ唯一無二の商品づくりが可能になるのです。

近年、様々なメディアに取り上げて頂くことが多くなったCoohemですが、今回一宮に行ってみて、巨匠の奥様がCoohemと知らずに商品を何点かお買い上げ頂いていたという事実が発覚、とても嬉しかったです。

以前は、Coohemと言ってもご存知の方も少なかったのですが、今回一宮で「この糸はCoohemにいいかなと思って試作してみた」「Coohemらしい色だよね?」と職人さんたちに言っていただけるようになってきたこと。

非常にありがたく、さらに今後もより良いモノづくりを「カタチ」にしていきたいと思いました。

Director 大江

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