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米富繊維・Coohemを支える人達 〜開発・鈴木編〜
今回の「米富繊維・COOHEMを支える人達 」連載第6回目は、米富繊維株式会社およびCOOHEMの全てのモノづくりのベースを築いた職人、鈴木開発室長の登場です。
彼は地元・山形の工業高校の繊維科を卒業後、新卒採用で1972年に米富繊維株式会社に入社。
今からなんと44年ほど前のことです。
入社後、現会長が創設した「編地開発室」へ。
以来、今日に至る44年間、ただひたすら編地(ニットテキスタイル)を編み続けてきました。
編地開発とは、ニットでテキスタイルデザインをすること。
ニットの専門用語で「柄組(がらくみ)」と呼ばれるプログラミングを組むことによって、使用する糸を編む順番や組織、編地を引き下げる力を調節するなど複雑かつ繊細なデータを構築していきます。
米富繊維株式会社では、特に現行の編機に改造を施すこともなく、この柄組の「技術」と「発想力」によって唯一無二のテキスタイルを生み出してきました。
35cm角の編地スワッチに新しいテキスタイルを表現する。
山形本社の資料室には、彼が編み続けてきた数万枚におよぶ編地スワッチがアーカイヴスとして保管されており、世界でも類を見ない編地開発の歴史と培われた技術は米富繊維株式会社の財産です。
COOHEMの企画はもちろん、OEM、ODM取引先ブランドのデザイナーの方もここから企画をスタートさせます。
かの有名デザイナーもその昔、彼の技術に多くの信頼を寄せ、自身のコレクションを発表してきました。
今から数十年前、現会長とともにフランス・パリやアメリカ・ニューヨークと海外を周り、欧米の優れたニットデザインに触れ、伝説のセレクトショップ・エミスフィールなど「本物」を体感する機会も多かった室長。
当時、あれだけ世界を見てきた「職人」はいなかったと思われます。
もはや人間国宝とも言える鈴木室長の「発想」を物語るエピソードとして、僕が入社した頃に「どんな時に編地のインスピレーションを得るのか?」質問したところ、
通勤する際に「電線がからまっているのを見て編み組織を思いついたことがある・・・」
何事にも好奇心があり、頭の中でイメージできる「発想力」。
そしてそれをカタチにできる「技術力」。
飄々としたキャラクターですが、アーティスト気質を感じる鈴木室長の続けてきた編地開発。
時は流れ、彼の開発してきた数々の「発想」と「技術」は、Coohemというブランドに形を変え、世界中に発信されています。
COOHEMはまさに彼の続けてきた編地開発の歴史の上に成り立っています。
技術だけではブランドにはなれませんが、技術なくしてブランドも成立しないのです。
鈴木室長のようなベテランスタッフとともにブランドのモノづくりができることに感謝しつつ、モノづくりに真摯に向き合うことによって新しい商品を開発していきたいと思います。
さて、次回のDirector’s BLOG「米富繊維・COOHEMを支える人達 」連載第7回目、米富繊維がジャケットなど布帛仕立ての商品を作れるきっかけになったチーフパタンナー・鈴木編です。
ご期待ください。
Director 大江