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コロナウィルスと日本のモノづくり

世界中が、日本中が新型コロナウィルス感染拡大に脅かされる未曾有の事態の中で、続々と発表される欧米ラグジュアリーブランドのマスクや医療用ガウン、人工呼吸器の生産。自社の生産背景を持つブランドがその生産技術を生かし目の前の困難に立ち向かう。
こうしたスピード感のある行動には、企業として、ブランドとして見習うべき点ばかりだった。

そして、続々と国内繊維製造業でもマスク生産がスタートし、今ではさまざまな技術と特徴があるマスクが販売されています。遅ればせながら米富繊維株式会社としても、マスクが入手困難である状況をふまえ、洗って繰り返し使用できる布マスクの生産をしました。

自社で生産または販売することに葛藤もありましたが、供給量が限られる本来の医療用マスクが必要な人達の手に渡るように微力ながら自社でできることは何か?考えた末に生産、販売することにしました。

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本業ではないマスクの生産に関しては、業界内でも賛否両論があるのも事実。
もともとアパレル製品自体の供給過剰が問題となっているところに、今度はマスクが供給過剰になるのでは?と見る人も。

しかし、こうした意見は誤解を招く可能性も承知で書きますが、この緊急事態の中で誰かを助けるために何かしら取り組むことができたアパレルメーカーやブランド、小売店がどれだけあったのだろうか?

ある大手セレクトショップにおいては、一方的に発注商品をキャンセルするなど、その企業姿勢が問題になっていたりする。

メディアで取り沙汰されていないだけで、この手の話題はどこからでも聞こえてきてしまうこの頃。
置かれている環境は、業種を問わず厳しいものがあるのは事実ですが、こうしたニュースは同じ服屋として悲しい限りです。

 

 

様々な意見がありますが、個人的にはこの危機的状況の中で、自らの技術を生かして世の中が必要としている製品を企画、生産、販売まで手掛ける国内繊維製造業の動きは、今後の日本のモノづくりが進むべき一つの道を示すことかもしれないと思う。

なぜなら本来、モノづくりは、その製品を着る/使う人のために生み出される活動であり、作り手は必要としてくれる使い手のために、その技術を形にしていくもの。

これまでアパレルのモノづくり企業は、下請け的要素が強く、ただひたすら黙々と作り続けるしかない側面が強かった。

モノを作っていて誰かに感謝されたり、社会に貢献できたり、感じることができにくかった部分が、奇しくもコロナウィルスによる危機的状況によって「モノを作ることができる環境や人がいる」という自らの最大の強みを再発見できたのだと思う。


この状況に便乗しているのではなく、これをキッカケに自らの強みを再認識した日本のモノづくりは、自ら作って自ら販売するというシンプルな形へ進化を遂げていく。

 

必要としてくれる誰かのために、喜んでもらえる人のために、モノを作る。

シンプルだけど、素敵なモノづくりなんだと思う。

 

コロナウィルスの一日も早い終息を願いつつ、そんな素敵なモノづくりが続いていくこくことを願う。

Director 大江

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