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T.P.Oで考える服

昨年に比べて暖かい今年の秋冬ですが、山形は雪が降り始めそろそろ冬の訪れを感じる頃となりました。

さて、今回のDirector’s BLOGは、「T.P.Oで考える服」について。

「T.P.O(ティー・ピー・オー)」とは?
Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字をとった「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味する和製英語。

この概念の発案者は「VAN」の創始者・石津謙介氏と言われています。


言葉の使い方としては「T.P.Oをわきまえた着こなし」や「TPOに相応しい言動を心掛ける」など、ビジネスシーンのみならず冠婚葬祭や社会人としての一般教養的な意味合いでしばしば使われることが多いと思います。

かの石津氏は、戦後の日本にアイビーファッションを紹介、そのライフスタイルを啓蒙する中で、欧米のドレスコードの概念を「T.P.O」という言葉を使って当時の日本人にわかりやすく解説したのかもしれません。


ご存知の通り日本には欧米ほど階級意識やドレスコードの概念が強くありません。
歴史を紐解けば、日本にも和装における独自の文化や着こなしの概念が存在していたはずですが、明治維新から今日に至るまで欧米の先進的な概念やライフスタイルを取り入れて、自分たちなりに編集して発展してきたことは言うまでもありません。

そんな世界に誇る編集大国・日本で独自に解釈され発達した考え方として「T.P.O」も挙げられるのではないでしょうか。

その服は昼に着るべきものか?夜に着た方がいいのか?
華やかなパーティで着るべき服なのか?リラックスした週末に着たい服なのか?

今は、オフィスのカジュアル化が進み、いわゆるOLさんでも通勤着としてスーツやジャケットを着用しないでもOKだったり、ビジネスマンのクールビズに代表されるようにネクタイを締めないビジネススタイルも一般的になりました。
自転車通勤の方が着替えないでそのまま仕事ができる仕様になったスーツすら誕生しています。

そういう点では、時代とともに「T.P.O」を考えるっていうこと自体が変化しつつあります。
「こうあるべき、こう着るべき」という古くからの伝統や慣習に囚われるだけでは時代の流れについていけなくなります。

これは服の着方に限らず、モノづくりにも同じことが言えるのではないか?
ニットの基本はこうあるべき、秋冬のニットはこう着るなどなど。
基本は大事ですが、縛られずに、そして基本を忘れずに個々の個性を出していく。

Time(時間)とPlace(場所)、Occasion(場合)をわきまえる。
「ファッション」だから何でもありじゃなくて、着ていくシーンや出会う誰かによってアイテムや着こなしを考えてみる。

古臭く感じるようなことでも、大事な基本を忘れずに、時代に合わせて捉え方を変えていく。

「T.P.O」って、Tradition(伝統)をProgress(進化)させて、Originality(独自性)を出すCOOHEMのモノづくりに相通じるものとも言える。

モノが溢れ、スタイルが乱立したこの時代だからこそ、意味もなく何でもありじゃなくてこの「T.P.O」という言葉を改めて意識したい気分です。

Director 大江

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