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日常に見つけたデザインの種
連日の猛暑。
猛暑を通り越して、炎暑というこの頃。
くれぐれも熱中症にはご注意ください。
今回のDirector’s BLOGは、COOHEMの商品企画の原点とも言えるデザインの発想「日常に見つけたデザインの種」について。
ブランドを立ち上げて、服のデザインをするようになってから、日常のあらゆるモノやコトに対して「これをこうしたら面白いのかな?」「だんだんニットの配色に見えてきた」「この考え方をニットに置き換えられないか?」など妄想癖がついたような気がします。
ふと足元を見て、目の前に広がる色の組み合わせがニットの編み組織に見えた地下鉄。
そして、リサイクルショップの前で無造作に積み上げられたコンテナや古着のワッペンを何気なく並べて見て気づく色の配列。
直感的に何かを「デザインの種」として無意識に感じ取っているのかもしれない。
僕の日常は、海外出張の時のリサーチだったり、染色工場の見学だったり、米富繊維のアーカイヴスだったり、イラストレーターの画集を見ることだったり、出張中の地下鉄や何気なく目に留まった看板だったりと関連性のない一つ一つが「日常」だったりする。
そういう一つ一つにデザインの種がある。
コレクションの企画が一段落しても、脳は常に先のモノづくりのことを考えているので、目にしたモノや聞いたコト、全てがデザインにつながる可能性を秘めている。
以前、弊社のニットテキスタイルを開発してきた室長が言っていた。
「電線が絡まっているのを見て編地を思いついた」
そして
「一番嬉しいのは編地を編めた時じゃなくて、思いついた時」
何かをクリエーションしている人には特に共感できる内容かもしれないけど、モノが出来た時じゃなくて、「新しい考え方」や「新しいアプローチ方法」に辿り着いた時が最も嬉しい。
彼もまた、いつもいつの日も「日常に見つけたデザインの種」を無意識に探しているのかもしれない。
学生の頃、なんで「トレンドって生まれるてくるのか?」って疑問を持った事があった。
世界のどこかで偉い人達が集まって、議論して決めているのかと思っていた時期もあった。
でも、自ら商品企画をやるようになって、突き詰めて、突き詰めて考え抜いた末に、新しさを表現する方向性が世のトレンドと合致することがあるということを体感した。
短略的にデザインが同じとか、アイテムが同じとかそうじゃなくて、大きな方向性として自らのデザインと世のトレンドが合致したりすることはある。
大ヒットするメガトレンドが不在と言われる世の中、多様性(ダイバーシティ)という現象そのものをトレンドと解釈する向きもあるが、他と同じトレンドの商品が大事なのではなく、大きな方向性の中で放つ自らの独自性が最も大事だと思う。
その時代を生きた大勢の人が瞬間的に享受できる良さが「トレンド」にはあるが、COOHEMという一見トレンドを纏ったように見えて、実は培われた技術と歴史に裏打ちされたデザインという「独自性」が日本のファクトリーブランドの進化の一つだと思う。
今日も通勤途中に見かけた景色、起きる出来事、全てに「日常に見つけたデザインの種」がある。
Director 大江