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同質化しないモノづくり
先週、パリの展示会を終え、いよいよ来週からは国内の展示会。
東京展に向けたサンプル作りもなんとか終え、国内初のCOOHEM MEN’S展示会の本格的なスタートとなります。
昨今のアパレル不況が新聞等のニュースになるなど、こうした問題を招いた要因の1つが「商品やSHOPの同質化」と言われています。
「同質化」と言うのは、SHOPも商品もどこも似たようなものばかりということ。
なぜ?こうした事態になるのか?
その答えは「モノづくり」「店づくり」のプロセスにあります。
僕たちCOOHEMはと言うと、皆さんご存知の通り山形の自社工場でデザイン、糸からテキスタイルを開発、パターンメイキング、縫製、仕上げを一貫して行なっており、糸やボタンなど洋服を構成するパーツ自体もオリジナルで作成することがほとんどです。
このプロセス自体が「同質化」とは程遠い。
手前味噌ですが、本当に時間をかけ多くの人の手をかけ、手間暇を惜しまず一所懸命にモノづくりをする。単なる後追いやコピーなどではなく、完全にオリジナルであることにこだわる。
これこそが、COOHEMがファクトリーブランドとしてのアイデンティティー。
そこで、そんなCOOHEMの具体的なモノづくりプロセスを見ていきましょう。
まず、企画がスタートする段階で登場するのが、ニットテキスタイル開発部門創設以来、先代から続く約40年間のニットテキスタイル(編地)、製品サンプルの膨大なアーカイヴスが眠る資料室へ。
僕が入社以来、一通り目にしたはずなのですが、その時々で初めて見た新鮮さを感じるくらいの物量です。
予想していない新たな発見がいつもある場所。
そして、糸。
このBLOGでも何度かふれてきた糸探し。
イタリア、上海、一ノ宮と足を運び、目で確かめ、オリジナルの糸を作ることも多くなってきています。
サンプリングの糸が届いたら、アレコレ組み合わせ、ニットテキスタイルの開発へと進みます。
この時点で具体的なアイテム、デザインのイメージはできつつあり、そこに近づけていけるかがニットテキスタイルの難しさ。
何度も試編みしては、修正し、アレンジし、調節し、失敗し。。
1つのニットテキスタイルのベースができるまでに繰り返されるこのプロセスが最も大事であり、デザイナーとしては最も難しい部分です。
ようやく完成したガーメントはパタンナーの手に渡り、ガーメント(生地)から「服」の形になっていきます。
簡単に説明してきましたが、ここまで来るのにキズや編めないなどというトラブルが無いことはほぼ皆無。
それだけハードなモノづくりは、問題解決=クリエイションという方程式がピッタリだと個人的には思います。
さて、縫製され、最終の仕上げが完成した商品はというと、、、
そう、「これってニットなの?」と感じるくらいアイテムの数々。
僕たちはニットの機械でニットでは誰も作ったことのないアイテムを、そして、この場所(工場)で、この人達(職人)と共にいるからこそできるモノづくりをしています。
そこには、可能性を無限に追求する純粋性と愚直な姿勢がある。
時代のトレンドや周囲の環境に翻弄され、紆余曲折、数々の失敗を繰り返し、進化を遂げてきた背景には、こうしたプロセスの中で携わる皆のモノづくりに対する想いがあり、それは日本人がこれまで培ってきた「モノづくりカルチャー」と言えるのではないでしょうか。
自ら足を運び、自らの目で確かめ、挑戦し、困難にぶち当たる。
それを乗り越えた時に新しいモノは生まれる。
ストリートが流行っているから、今年はオーバーサイズだよね、と流されたりすることもあるかもしれない。
「今っぽい」って不確実な、実は業界人の業界内だけの予定調和のような響きでは片付けられないプロセスがストーリーとなる。
答えは1つではないけれど、時代が変わろう変わらないプロセスがある。
同じような商品や類似するブランドは世界中であまり無いように感じます。良くも悪くも。。
なぜなら「同質化」とは程遠いくらいのプロセスを経て生まれているから。
やっとAUTUMN&WINTERの企画が終わったと思いきや、もうSPRING&SUMMERに向けた新しいストーリーが始まりつつあります。
Director 大江