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NATIVE TWEED誕生秘話

9月に入り、いよいよ各卸先SHOP、COOHEM ONLINE SHOPでの販売がスタートした「NEW NATIVE TWEED」について、その誕生秘話をご紹介したいと思います。

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前回のCOOHEM BLOGでも取り上げられていますが、2013AWに”初代NATIVE TWEED”をリリースし、その進化版として素材をアップグレードして生まれたのが2016AW「NEW NATIVE TWEED」です。

もともと2013AWのコレクションを作る際に

 

「これまでの布帛(織物)ライクなニットツウィードを中心としたジャケットやコートではない新しいものを表現したい」

 

と思ったことがキッカケでした。

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そもそも、なぜネイティブ柄なのか?

ネイティブには「もともとその土地に住みついていた人の、自然のままの」という意味があり、ネイティブアメリカンが代々受け継いできた民族的な柄をネイティブ柄と呼びます。

実は、僕が育った家には父親の趣味なのか、ネイティブ柄のクッションカバーやラグ、そんなものがたくさんありました。戦後のアメカジ、トラッドの王道を歩んできた父親の趣味だったのだと思います。

そういう意味では、自分自身、「柄」としての馴染みもありましたが、それをニットで表現することに抵抗もなく、むしろ興味すら沸いた背景があります。

このBLOGでもご紹介した鈴木開発室長と話していく中で、彼の長いキャリアの中で「やってみたかったけど、まだやったことのないこと」を2人で探っていく中で、最もローゲージの編機で手編みに使うようなファンシーヤーンのみでジャカードをベースに編んでいく手法にトライすることになりました。

そこから悪戦苦闘の毎日、今までにないハードな編地作りは機械が壊れる一歩手前まで続き。。

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そこから、かつてない厚さの編地は鈴木チーフパタンナーの手に渡り、ここでまた悪戦苦闘を繰り返し、ニットメーカーの縫製設備では限界とまでベテラン職人に言わしめたほどの工程を経てカタチとなる。

通常のニット製品の倍以上の縫製時間は、基本的にセーターを中心とするインナーを縫製するメーカーにとって、かつてないほどハードなモノづくりでした。

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こうして”初代NATIVE TWEED”は、本格的に海外進出をした2013AWパリの合同展示会PARIS SUR MODEでリリースされ国内外のバイヤーに人気の品番となり、お店に出てからも、唯一無二の商品力で瞬時に完売したSHOPも多く「あの時買っておけばよかった!」という有り難いお言葉を多数頂いたこともエピソードの一つです。

 

この「マスターピース(傑作品)」と言えるNATIVE TWEEDですが、今回バージョンアップしリリースした理由の一つに昨年受賞したTOKYO FASHION AWARDが挙げられます。

_38A0043*3月に開催されたTOKYO FASHION AWARD凱旋イベント

TOKYO FASHION AWARDの審査員でもあるUA&SONSディレクターである小木“POGGY”基史氏にも”初代NATIVE TWEED”は絶賛され、この受賞に際しCOOHEM MENSをスタートすることに。

 

そんな経緯のなか、待望のMENSリリースもあり、僕自身ぜひ男性のお客様にもご紹介したいという想いがありました。

そして何より、自分自身も袖を通したいという気持ちも強かったのも事実。

デザイナーにとって過去の人気品番をバージョンアップさせ再びリリースすることは一見、簡単なようで一番難しいこと。

それは、人気があった評価が高かった品番だからこそ、それを超えるために新しい考え方や手法を取り入れつつ、その商品を進化させなければならないから。

全く新しいものを生み続ける苦悩も大変ですが、過去のものをより進化させることの方が大変かもしれません。

ベースとなる素材を上質なファインウールのモール糸にバージョンアップ、トップ(メランジ)の雰囲気を出すために#GREYはグレーと白を撚糸、#BEIGEは濃淡で2種類のベージュを撚糸した別注色を作成。
袖口と襟周りはパイル編みにしてボアのような質感にするなどなど、取り入れた手法は数々。
しっとりとしたカシミヤライクのタッチが上質感を醸し出し、ネイティブ柄の配色糸はお馴染みのイタリアのファンシーヤーンでアクセントにする。

女性のお客様、男性のお客様、ともに大人っぽくカジュアルになりすぎない高級感を感じて頂けるテキスタイルに進化。

まるで、ムートンを着ているようなアイテムへと昇華させるために。

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特殊な糸使い、これまでのニットのモノづくりの常識を逸脱したような負荷のかかるモノづくり、量産工程で起こる数々のトラブルを解決し、ようやく皆さまにご覧頂けるところまで辿り着きました。

ここ数ヶ月、米富繊維株式会社の山形本社ではこのNEW NATIVE TWEEDの量産に、編立、縫製ともにハードなモノづくりが続きました。

デザイナーにとってハードなことは、量産をする職人たちにとってもハード。

そういったプロセスを経たからこそ唯一無二のマスターピースは完成するのです。

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COOHEM ONLINE SHOPでは上の写真のようにMENS、WOMENS同色のテキスタイルを使用しています。
ファスナーの付け位置とサイズ感が異なります。MENS、WOMENSともに各サイズお取り扱いがありますので、是非チェックしてみてください。

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*COOHEM MENSを展開して頂いているUNITED ARROWS「UA&SONS」では、UA&SONS限定カラーとなります。ネイティブ柄の配色の1色が#GREYにはブラック、#BEIGEにはネイビーとなり、よりシックな雰囲気に仕上がっています。こちらも先行して7月末より店頭で展開しておりますので、気になる方はお早めにお店に足を運んでみてください。

様々なプロセスを経て誕生したNATIVE TWEED。
是非ご覧いただければと思います。

Director 大江

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