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改めてモノの価値を考えてみる② PASS THE BATON × YONETOMI

10月中旬から東京も山形もすっかり寒くなり、先物買した秋冬物が大活躍し始めた季節です。
例年よりも寒くなるのが早い感じですが、ローゲージのニットやアウターはやっぱり秋冬らしくってコーディネートを考えるのも楽しいものです。

さて、今回のDirector’s BLOGは改めてモノの価値を考えてみる② PASS THE BATON × YONETOMI」と題し、現代のリサイクルセレクトショップPASS THE BATONと老舗ニットメーカー米富繊維のコラボレーションをご紹介していきます。

風を通さないくらいしっかりと編み込まれた迫力満点のニットコート。

ヨーロッパのヴィンテージを彷彿とさせる素材感。

存在感がありながら、色々と着まわしのきくニットアウターです。

 

では、その誕生秘話からご紹介していきます。

「ニットのアウターがやりたい」

PASS THE BATONからリクエストされた課題は、デッドストックの糸を再利用したニットアウター。風を通さず、ニットの柔らかさを感じつつ、ある程度のウェイトを持ったアウターを成立させる。

これが簡単なようで、非常に難しい。

なぜならデッドストックの糸を使う前提のため、その今ある「糸」をリクエスト通りのアイテムに落とし込むために、素材の組み合わせだったり、編み方だったり、加工だったり、悪戦苦闘のテキスタイル(編地)作りは続きました。

 

ケーブル編みはより立体的に、そしてコートにふさわしくより厚く。

そして、何度も何度も試行錯誤の末にイタリアのデッドストックヤーンをクラシックなケーブル編みにして強縮(きょうしゅく)加工という後加工を施すによってコートのテキスタイルが完成。

 

テキスタイルの(編地)のベースができるまでにかかった時間は、COOHEMのニットツウィード開発と同じくらい、何度も失敗し、限界まで挑戦しました。

 

編み始めて加工してみたら、実はあまり強縮加工に向いていない糸であることが判明、米富繊維の開発室長と色々と考え議論の末、強縮加工に向いている別のウールの糸を引き揃えて、その糸が縮む原理を利用して、このデッドストックの糸を引っ張らせて勢いで縮ませることに成功。

「色」をコントロールするために、染まった糸を使用するのではなく、染まっていない「生地糸」を使用し、「色」は製品染めでコントロール。

イタリアのカラーネップに製品染めしたのは、ブラック、ホワイト、ピンクの3色。
糸とりどりのカラーのネップも色によって微妙に見え方が変わる味のあるカラーリングとなりました。

 

 

Deadstock italian yarn cable overdye coat

¥62,640(税込)

前回のDirector’s BLOG「改めてモノの価値を考えてみる① PASS THE BATON × YONETOMI」でも書きましたが、デザインや考え方によって、それまで何らかの理由で使用できなかった糸がこんなにも素敵な商品に生まれ変わる。
 
 
ファッションデザインやアートって、やっぱり付加価値なんだなと改めて感じます。

「デッソストックの糸でもここまでできるんだ」

今回もこのコラボレーションで僕自身も改めて感じたデザインの技術と発想の底力。
まだまだ日本の技術と日本人の発想には可能性があります。

 
 
 
こちらのコート、ウェイトもそれなりにありますが、個人的には最近いたずらにアウターが軽くなって、軽いアウターを着ることが当たり前になりつつありますが、ヴィンテージのアウターに代表されるように一番外側に着て寒さをしのぐものってある程度の重さがあるものなのかなと。
 
 
女性の方はもちろん、男性の方も来ていただけるオーバーサイズなデザインですので、是非みなさん店頭で袖を通してみてください。
 
Director 大江

 

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